海外展示会・2012 春夏コレクション 「2011モード・シティ」展レポート フリー・ジャーナリスト 武田尚子(文・写真)【世界のインナーウエア業界の大転換期 機能性重視の潮流の中でも、色がはじけるシーズンに】会場画像 ※写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます。

秋冬シーズンのコレクションを発表する「パリ国際ランジェリー展」に対し、春夏シーズンのランジェリーと水着のコレクションを発表する「モード・シティ」。スタート以来、初めて、開催時期が9月から7月に変更され、9日から11日までの3日間、バカンス前のパリ、ポルトドベルサイユ見本市会場に世界からのバイヤーを集めて開催された。

来場者数は、製品・素材の両展合わせて、27,017人。フランス以外からの来場が全体の7割を超している中で、日本からの来場者はどちらも珍しくベスト10カ国の中に入らなかった。

素材展「アンテルフィリエール」の方には、日本から新たに、三菱レーヨン、三井物産テクノプロダクツ、日本エクスラン工業が出展。いずれもメンズやスポーツウエア向けの素材を紹介していた。

今回は、ランジェリー・水着双方とも、ファッションショーにメンズが登場しなかったが、会場には数は多くないものの、常連組に加えて、コロンビアなどからメンズブランドの初出展が見られた。さらに、スペインのトータルブランド「デジグアル」が新しく登場。そのカラフルなプリントの世界は、来夏のトレンドを象徴している。

“色の爆発”のシーズン

レディスのシェイプウェアが勢揃い

インナーウエア全体のトレンドとしては、「シャイプウエア」全盛といっていいだろう。従来からアメリカ市場を中心に定着している体型補整機能の強いファンデーションのことを指すが、伝統的なシェイプウエアのメーカーだけでなく、ワコールフランスをリード役に、一般のランジェリーブランドがこぞってこの分野を手掛けはじめた。

この波がレディスにとどまらず、メンズにもじわじわ押し寄せていることは想像に難くない。というのは、この変革には無縫製(シームレス)技術や接着技術なども含めて、エンジニアリングや素材メーカーの後ろ盾が大きく、下着業界の生産システムを大きく変える影響力をはらんでいるからである。スポーツウエアともますます密接な関係になっていくものと思われる。

一方では、色が非常にカラフルで明るく、この傾向は2012秋冬シーズンも続きそう。オレンジをはじめ、イエロー、ピンク、グリーンなどのネオンカラー、酸味のあるアシドカラー、また微妙なニュアンスのあるブルー系が新鮮に映る。他に、黒とゴールド、夏らしい紺と白の組み合わせも多い。

これは水着で顕著なトレンドだが、アラブやアフリカからインスピレーションを受けたようなエキゾチックでカラフルなプリントも多彩。プリミティブというより、未来的でオーガニックな雰囲気が漂う。

仏デザイナーブランドの次なるステップ

【左上】L'HOMME INVISIBLEのブース外観 
【右上】パトリス・シェヴルゥ氏とリラックスウェア
【左中】オパール加工のプリント
【右下】プリントが人気の継続商品
【左下】2012春夏新製品

メンズアンダーウエアの世界で、80年代からトレンドをリードしてきたブランドの一つがフランスの「L'HOMME INVISIBLE(ロム・アンヴィジブル)」。デザイナーのパトリス・シェヴルゥ氏が会社経営も行ってきたが、ブランドのスタートから25年を機に、自分の生き方を見直し、2カ月前に会社を売ったばかりとのこと。自身はこれから同ブランドのアートディレクターの仕事は続けながらも、「好きなコンテンポラリー・アートに時間を割いて、自分の生活を大切にしていきたい」と話してくれた(彼の専門分野は写真で、ギャラリーも経営している)。新経営者のサンディープ・サーニ氏はグローバルな販路拡大に意欲的だ。

そのライフスタイルの大転換をあらわすように、2012春夏のコレクションには、ヨガをする時や休日にぴったりの、麻や綿素材のリラックスウエアを新しく展開。着心地の良さやカットの美しさは従来からの持ち味だが、肩の力の抜けた大人の男性らしいシンプルなトップ&ボトムが提案されていた。

アンダーウエアの新作は、「行き過ぎたセクシーは避けたい」という通り、シンプルな印象だが、肌触りのいい白のコットンに、トレンドであるオレンジ、そしてシルバーの箔プリントがモダンなスポーツ感覚を強調している。